【韓国】韓国初のノーベル文学賞作家ハン・ガンの小説に出てくる「水踰里(スユリ)」ってどこ?

アジア

2024年のノーベル文学賞に選ばれた韓国の女性作家、韓江(ハン・ガン)さん。

社会的な弱者や傷ついた人々を、繊細な文章と緻密な構成で綴られ描かれるその作品は、国際的にも非常に高く評価されており、ノーベル賞を受賞したことでその注目度はますます高まっています。

作品をいくつか読んでいるうちに、ソウルの「水踰里(スユリ・수유리)」という土地がよく描写されていることに気がつきました。

このページでは「スユリ」という場所についてご紹介いたします。

ハン・ガンさんのプロフィール

名前  :韓 江(한강、ハン・ガン)
生年月日:1970年11月27日
出身  :光州広域市
学歴  :ヒョドン国民学校(光州)→新徳中学校(釜山)→豊文高校(ソウル港南区)→延世大学国文料卒
受賞歴 :李箱文学賞(2005)、ブッカー国際賞(2016)、ノーベル文学賞(2024)

大学4年時に延世春秋主管延世文化賞で初受賞。その後雑誌社で記者として勤めながら作品を発表。

キャリアの最初のころは詩人でしたが、途中から小説家に転向しました。

ソウル芸術大学で専任教授として11年ほど勤務していましたが、今は専業作家として活動されています。

父親は小説家の韓勝源。兄も小説家・童話作家で、弟も小説家・漫画家という文学一家。

離婚歴があり、息子さんが1人います。

著者
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ちなみにソウルを流れる川も「한강(ハンガン)」といい同じ発音です。川のほうは「江」ですので漢字は違います。

韓国でもかなり珍しい名前で、お父さんが「大きな人間になるように」と名付けたそうです。その通りになっていてすごい!

名前についてインタビューを受けるハン・ガンさんです。穏やかで繊細な語り口が素敵ですね!

「水踰里(スユリ)」とは?

江北区の写真 photo by Clark Gu on Unsplash

学歴を見てわかるように、ハン・ガンさんは学生時代に道を跨いだ引っ越しを繰り返しています。

そんな中で一番長く暮らしたのがこの「水踰里(スユリ)」だそうです。10歳頃

ハン・ガンさん曰く「ロマンチックなものはなく、素朴な街。裕福な人は多くないし、山が近くて、路地がある。スユリと言えば胸にじんときます(注1)」「今は家族は誰も住んでいないのに、私にはいつか帰りたいところ(注2)」と述べています。

小説内で度々描写されることのある地なので、ハン・ガンさんのこの地への思い入れが伝わってきます。

水踰里(スユリ)はどこにある?

「ギリシャ語の時間」などのハン・ガンさんの作品に度々出てくる「水踰里(スユリ)」は、韓国ソウルの江北区にある地域です。

水踰里(スユリ)の「」というのは朝鮮時代の言葉で「」を意味しています。

1950年代にソウルに編入され「水踰洞(スユドン・수유동)」という名称に変更されました。

水踰里(スユリ)にはなにがある?

小説にも登場したスユリのスポットをご紹介します。

4.19学生革命モニュメント

韓国で1960年に起きた学生革命「四月革命(4.19革命)」の記念塔と記念館です。公園と墓地もあります。

第二次世界大戦後、李承晩は1948年に大韓民国の初代大統領に就任しましたが、政権運営は徐々に独裁化し、汚職や権力乱用が横行しました。1960年には大規模な不正選挙により李承晩が再選したこと、経済的な困窮や社会の不平等などに多くの国民が不満を持っていました。

1960年4月19日、ソウルの学生たちを中心に不正選挙に抗議するデモが始まりました。デモは全国へと拡大しましたが、軍と警察による激しい弾圧により多数の死傷者が出ました。これに憤慨した国民の抗議の結果、李承晩は辞職しハワイへ亡命。韓国で初めての大規模な民主化運動とされています。

四月革命はその後の韓国民主化運動に大きな影響を与え、1980年代の民主化運動の基盤となりました

著者
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父親の出身地であり自身が幼少期に暮らした「光州」が1980年代民主化運動の中心地であり、長く暮らした水踰里には民主化運動を記念する4.19の塔が見える。

小説「少年が来る」で光州事件について書いたことや、苦しむ人をテーマに選ぶことは、ハン・ガンさんの生きてきた道を辿ることでその理由が見えてきますね。

道詵寺 (도선사)

曹渓宗の仏教寺院です。道詵寺という名前は創始者とされる道詵にちなんで名付けられました。

韓国33観音聖地の一つでもあり、磨崖仏立像をはじめとしたソウル市の文化財が数点あります。

最寄りの牛耳新設線 北漢山牛耳駅からはシャトルバスが便利です。

華渓寺(ファゲサ・화계사)

1522年創建の自然に囲まれた静かなお寺です。

あまり大きなお寺ではありませんが、テンプルステイができるので外国人の訪問者を多く受け入れています。

地下鉄4号線水踰駅からマウルバス2番に乗り華渓寺で下車できます。

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参考文献

注1:国立国語院のインタビュー https://blog.naver.com/urimaljigi/40146456140

注2:Daumニュース https://v.daum.net/v/20241013125923638

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