【シンガポール】どうして規則がこんなに厳しいの?

アジア

シンガポールは、マーライオン、小さな国土、美味しい食べ物などが連想される旅行先としても人気の国です。

一方で「ガムが噛めない」など日本にはない独特ルールがあることでも知られています。

今回はそんなシンガポールにある規制についてご紹介します。

シンガポールってどんな国?

photo by Graham Hobster on Pixabay
首都:シンガポール(都市国家)
人口:約580万人
面積:719.2㎢(東京23区よりやや大きい)
公用語と第一言語の割合:英語(48.3%)、中国語(29.9%)、マレー語(9.2%)、タミル語(2.5%)
民族:中華系74%、マレー系14%、インド系9%

シンガポールはマレーシアの南にある都市国家です。一つの都市から成り立ち地方自治がなく、シンガポール市というのは事実上ありません。

貿易や金融などの分野で発展し、一人当たりGDPは世界5位という非常に豊かな国です。

政治に関しては1965年の建国以来事実上の一党独裁政治となっています。

先住民のマレー系、移民してきた中華系、19世紀のイギリス人移住後にやってきたインド系など多様な民族が混ざり合っており、ここに他の外国から来た移住者も多く、アジアの多民族国家の代表とも言えます。

シンガポールの厳しい決まり

シンガポールは発展していて清潔で観光地としても人気の高い国ですが、規則が厳しいことでも有名です。他国と比較しても独特な規則が多く、特にその清潔さや公共の秩序、安全を保つために厳格な法規制が存在します。

衛生編

photo by Frank Zhang on Pixabay

ガムの販売と持ち込み禁止

シンガポールでは、公共の場所にガムを捨てることで街が汚れるのを防ぐために、ガムの販売と持ち込みが厳しく規制されています。1992年に完全禁止され、その後、医療目的のものは認められましたが、今でもガムを一般的に購入することはできません。ガムの持ち込みは初犯で最大S$10,000、販売はS$100,000の罰金です。

公共の場所でのゴミ捨てに対する罰則

公共の場所でのゴミのポイ捨てには厳しい罰金が科され、違反者は初犯でも最大でS$2,000の罰金が課されます。再犯者にはさらに厳しい罰則があり、時には街の清掃活動に参加する「修復活動(Corrective Work Order)」が命じられ、社会的な罰も伴います。

喫煙に対する厳格な規制

シンガポールでは指定された喫煙エリア以外での喫煙が禁止されており、建物の入口や公共の交通機関の周辺なども喫煙禁止区域に含まれます。違反者には罰金が科せられるほか、電子タバコや無煙タバコ製品の使用や販売も禁止されています。

持ち込みについても規制があり、パッケージの色、デザイン、健康被害マークの有無などの諸条件をクリアする必要があります。日本国内で販売されているタバコは、シンガポール政府が定めた規定に反しているものなので、一切持ち込みができません!

鳩への餌やり禁止

観光地に行くとよくある「鳩に餌を与える行為」ですが、感染症の予防や清潔な環境維持の観点から禁止されています​。

植木鉢の水溜めっぱなし禁止

熱帯の国シンガポールでは蚊を媒介にした疫病防止のため、庭や植木鉢などに水を溜めっぱなしにすると罰則があります。

公共トイレの使用後に流す義務

公衆トイレで水を流さずに出ると、罰金が科せられる可能性があり、実際に公衆衛生法に基づく抜き打ち検査も行われています​。うっかりに注意!

電車と駅構内での飲食禁止

MRT車内と駅構内での飲食が一切禁止されています。水を飲むのもダメです。ドリアンの持ち込みも臭いが強烈なため禁止されています。

著者
著者

南国だから喉が乾いてうっかり飲んでしまいそうだから気をつけないと・・・

小さなお子さんがいる方は駅に入る前に忘れずに飲ませるようにしましょう

モラル編

photo by Frank Zhang on Pixabay

家庭内の裸に関する規制

「家では裸族」という人ももしかするといるかもしれませんが、シンガポールでは、他人に見える状態で裸でいることが法律違反とされる場合があります​。「他の人から見えるかどうか」が問題なので、裸でバルコニーに出たり、カーテンを開けっぱなしにすることには注意しましょう。

スパム広告やチラシの規制

無断でのチラシ配布やビラ貼りなども厳しく制限されています。スパム広告や迷惑な宣伝行為を抑えるため、チラシ配布には許可が必要で、違反すると罰金の対象になります。

Wi-Fi接続の盗用禁止

許可なく他人のWi-Fiに接続することは、シンガポールでは「ハッキング」とみなされ、罰金や懲役の対象となります​。きちんと許可を得ましょう。

夜10時以降の騒音と公共の場での飲酒規制

シンガポールでは夜10時以降の騒音が厳しく規制されています。集まりや大きな音を立てることが違法とされ、通報されると罰金の対象になることもあります​。

また午後10時30分から午前7時までの公共の場(駅や道路、歩道、公園、広場など)で飲酒が禁止されています。コンビニなどお店での販売も禁止されています。

ホーカーセンターのトレーの片付け

ホーカーセンター(シンガポールのフードコート)での食事は観光客にも大人気ですが、食事の後にトレーを戻さなかったら罰金という規則があります。食後の片付けはお忘れなく!

思想編

photo by Mahesh Patel on Pixabay

無許可の集会や抗議活動の制限

シンガポールでは、公共の場での集会や抗議活動に関して厳しい制限があり、政府からの許可が必要です。「スピーカーズ・コーナー(Speakers’ Corner)」と呼ばれる指定された場所のみで、許可を得れば公開の場で意見を述べることができますが、それ以外の場所での集会やデモは原則禁止されています。

インターネットの監視

シンガポール政府はインターネットの監視や規制を行っており、特に反政府的な情報や不適切なコンテンツについては厳しく取り締まられています。メディアの自由が制限されているため、政治的な情報や意見の表現には注意が必要です。

著者
著者

一方でシンガポールは汚職が少ないことでも有名で、なんでも情報公開できる透明性がある国とも言われています

なぜこんなに厳しいの?

人々の意識を変えさせる「罰金」

photo by succo on Pixabay

シンガポールは第二次世界大戦の日本軍戦占領時代を経て、イギリスの植民地となり、マレーシアの一部となり、その後1965年に完全に独立しました。建国当初は天然資源がなく国土も狭く国防にも弱いといった課題が多い国で、人々のモラルなども意識が低い状態でした。シンガポールは人々の意識を「罰金」という懲罰を加えることで意識を改革してきました。国力を高め暮らしやすい安全な国づくりのため、様々な厳しい規則が生まれたのです。

多民族・他宗教国家だから

photo by Leejoann on Pixabay

シンガポールには、中華系、マレー系、インド系、その他移住者など様々な国の人が暮らしています。元々マレーシア時代にマレー系と中国系の間で暴動が起き追い出された形で独立をしているシンガポールは、民族間のトラブルに敏感です。様々な価値観や習慣を持つ人々が同じ国で生きるため、厳しい規則を設けており、結果としてこれが現在のシンガポールの治安の良さにつながっています。

地理的な要因

photo by Monica Volpin on Pixabay

シンガポールは国土面積が小さく、ゴミの最終処分場を確保することも難しい国です。また熱帯の国なのでゴミによる悪臭、害虫の発生などの問題も起こりやすいため、衛生状況には注意が必要です。衛生問題に対する様々な規制は、こうしたシンガポール独特の地理的な要因があると考えられます。

ちなみに、シンガポールには「セマカウ島」という、ゴミでできた島があります。セマカウ島はゴミの燃えるゴミの最終処分場で、シンガポール唯一の埋立地です。焼却状況が良いので悪臭が出ず、周囲のサンゴ礁にも影響がない奇跡の島で、エコフレンドリーさから海外からも注目されています。

タイトルとURLをコピーしました